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非言語コミュニケーションとは、言葉を使わずに相手と意思疎通を図る手段です。「ノンバーバル・コミュニケーション」とも呼ばれ、ビジネスや日常生活など幅広い場面で活用されています。
非言語コミュニケーションに該当するのは、以下の要素です。
私たちはコミュニケーションの際、言葉だけでなくこれらの非言語的な情報からも多くの感情や意図を読み取ります。非言語コミュニケーションは意思疎通において、重要な役割を果たしているといえるでしょう。
「好意の総計」とは、心理学者アルバート・メラビアンによって1971年に提唱された、コミュニケーションにおける情報伝達の割合を示す法則です。
好意の総計は人が他者から情報を受け取る際に、言語のポジティブ性が表情と声の非言語によってどれだけ影響を受けたかを示したものです。ただし、彼はこの実験の詳細な方法をどこにも書きませんでした。今だに「どうやったの?」と問われるのはそのためです。
3つの要素の影響力の数値は固定されています。
この法則では言葉そのものよりも、声の調子や表情などの非言語的な情報が全体の93%を占めるとされています。つまり言葉が正しくても、声や表情がネガティブであれば、相手に違うニュアンスで伝わってしまう可能性があるのです。
この法則の日米比較実験として、日本の行動心理学者・佐藤綾子氏が1995年に行った実験があります。「ありがとう」「どうぞ」「どうも」といったポジティブな言葉を、肯定的・否定的な声や表情の組み合わせで話してもらい、印象の違いを検証しました。
その結果、言語がポジティブでも、声や表情がネガティブだと全体の印象もネガティブに変わる傾向が確認されました。このように「言葉」だけではなく「どう伝えるか」が、コミュニケーションの印象を大きく左右します。
なおメラビアンの実験では、具体的な数値の導き方は明示されていません。あくまで「情報が矛盾したときにどの要素が重視されるか」を示すものである点にも、注意が必要です。
非言語コミュニケーションは単なる補助的な役割ではなく、相手との関係性や意思疎通の質を大きく左右する要素です。ここからは、非言語コミュニケーションの重要性と効果について解説します。
非言語コミュニケーションは、言語だけでは伝えきれない「空気」や「ニュアンス」を補うのに欠かせないものです。たとえば自分の気持ちを言葉にして伝えたとしても、相手に気持ちが正しく伝わるとは限りません。
そのようなときに有効なのが、以下の非言語要素です。
これらをうまく使えば、言葉に込めた思いや真剣さ、優しさなどがより正確に伝わります。
たとえば同じ「ありがとう」でも、笑顔で明るい声で伝えたほうが、文字だけよりもはるかに気持ちが伝わります。微妙な感情や繊細な関係性を大切にしたい場面では、非言語の力を意識的に活用することが大切です。
非言語コミュニケーションは、相手との心理的な距離を縮めるために大きな効果を発揮します。たとえば初対面の相手に対しては、以下の要素が打ち解けやすい空気をつくる第一歩です。
また会話中に相手の話を笑顔で聞いたり、タイミングよく相づちを打ったりすれば「あなたの話に関心があります」「共感しています」という姿勢が伝わります。人は言葉よりも、相手の表情や態度から多くを読み取るものです。
さらに「類似性の法則」と呼ばれる心理的効果により、自分と似たしぐさや態度の相手に親近感を抱きやすい傾向もあります。こうした非言語要素を上手に使えば、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
非言語コミュニケーションは、相手の心情や心境を読み取るうえでも欠かせません。以下のような変化は、言葉にできない気持ちが無意識に表れる要素です。
たとえば同じ言葉でも明るく笑って話すのか、沈んだ声でうつむきながら話すのかによって、相手の内面の状態はまったく異なる印象に変わります。
こうした非言語的なサインを読み取れるようになれば、相手の気持ちに寄り添った対応がしやすくなり、より深い人間関係の構築につながります。
また非言語コミュニケーションは対面だけでなく、メールやメッセージの文体、絵文字の有無などにも通じるもので、相手の本音を探るヒントとして有効です。
米国テキサス大学名誉教授のマーク・L・ナップによれば、非言語コミュニケーションは大きく以下の7つに分類されます。
ここからは、それぞれの種類と具体例について順番に解説します。
身体動作は非言語コミュニケーションの中でも、特に影響力のある要素です。以下を通じて、言葉では伝えきれない感情や意図を補完できます。
たとえば、うなずく動作は相手への理解や同意を表し、笑顔は好意や安心感を伝えます。その一方で、腕組みや背をそらす姿勢は、防御的または威圧的な印象を与えることがあります。
視線の使い方も、相手の目を見れば集中していることや誠実さが伝わるため重要です。ただし身体動作は文化によって意味が異なる場合もあるため、国際的な場面では特に配慮が必要といえるでしょう。
以下のような身体特徴も相手に対し無意識的な印象を与えるため、非言語コミュニケーションにおいて大きな役割を果たします。
たとえば整った髪型や清潔感のある服装は、信頼感や誠実さを印象づける要素です。その一方で、寝癖や乱れた服装は「だらしない」「準備不足」といった印象を与えることもあります。
さらにメイクの有無やスタイルも、相手の印象に影響します。これらの要素は、言葉にしなくても相手に自分の価値観や態度を伝える手段です。特に初対面では、身体特徴から得られる情報が第一印象を大きく左右します。
接触行動とは、相手との身体的な触れ合いによって感情や関係性を表現する非言語コミュニケーションです。代表的な例としては、以下の行動があります。
たとえばビジネスシーンでは握手が信頼と敬意のしるしとして使われるほか、友人間でのハグは親密さや安心感を伝えるものです。また肩をポンと叩く行為は、励ましや共感を表すものとして使われることがあります。
接触行動には相手との距離感を縮める効果がありますが、一方で文化や個人差に配慮が必要です。日本では接触行動が控えめな傾向があり、欧米に比べて慎重な対応が求められるため、相手との関係性や場面を見極めながら、適切な接触行動を取ることが大切です。
周辺言語(パラランゲージ)は言葉そのものではなく、話し方や声の特徴によって感情や意図を伝える非言語コミュニケーションで、以下のものが該当します。
たとえば謝罪の場面では声のトーンを落とすことで誠意が伝わり、喜びを伝えるときは明るくハキハキと話すことで気持ちが伝わりやすくなります。
同じ言葉でも話し方次第で印象は大きく変わるため、会話中に無言の間があると「考えている」「迷っている」といった心の動きも感じ取れるでしょう。国や文化によって受け取られ方に違いがあるため、国際的な場面ではより慎重な配慮が求められます。
プロクシミックスとは、相手との距離の取り方に関する非言語コミュニケーションです。1960年にアメリカの人類学者E・T・ホールが提唱した概念で、対人距離もまた、意思の伝達手段であるという考え方に基づいています。
一般的に人は親しい間柄であれば自然と距離が近づき、初対面の人やフォーマルな場面では、距離を保つ傾向です。商談では適度な距離を保って礼儀正しい印象を与え、親密な友人とは肩を並べて話すことで安心感が生まれます。
ただし距離の感覚は文化によって異なり、日本人は比較的広めのパーソナルスペースを好む傾向にあります。相手との関係性や場の雰囲気を読み取って、適切な距離を保つことが大切です。
人工物の使用とは、アクセサリーや持ち物、服装などの物理的なオブジェクトを通じてメッセージを伝える非言語コミュニケーションです。具体例には以下のものが挙げられ、個人の価値観や所属、立場、気分を示す手段となります。
たとえば、ビジネスの場でシンプルで清潔感のあるスーツを着ていれば、真面目で信頼できる人物という印象を与えます。一方で、個性的な服装や装飾品は創造性や自由な思考を表すことがあります。
またTPOに応じた服装や持ち物の選び方は、相手への敬意や配慮を示す重要な要素です。人工物は、自分の印象をコントロールできる有効な非言語的手段の一つといえるでしょう。
環境は、コミュニケーションが行われる物理的な空間が相手に与える影響を指します。以下のものが挙げられ、雰囲気づくりに大きく影響します。
たとえば、明るく温かみのある照明は相手にリラックス感を与えるため、オープンな対話を促すのに効果的です。一方で寒色系の空間や殺風景な会議室は、堅苦しさや緊張感を生むことがあります。
ビジネスの場では、座席の配置一つで上下関係や心理的な圧力が変わることもあるほか、テレワーク時には背景の設定や室内の印象が非言語的メッセージとなって相手に影響を与えることもあります。
ビジネスの現場では言葉による説明だけではなく、非言語コミュニケーションの活用が成果に大きく影響します。表情や姿勢、声のトーンといった要素は、相手に安心感や信頼感を与える重要な手段です。
ここでは商談・1on1ミーティング・採用面接といった具体的なビジネスシーンごとに、非言語コミュニケーションの活用方法を解説します。
商談では、非言語コミュニケーションが相手の信頼を得るカギといえるでしょう。たとえば以下のような行動が、誠実さや熱意を伝える要素になります。
また声のトーンを明るめに保ち、ゆっくりと落ち着いて話せば、余裕のある印象を与えられます。商談中、相手が身を乗り出して聞いている場合は関心が高いサインなので、詳しく説明するチャンスです。
逆に腕を組んでいる場合は警戒している可能性があるため、態度や話し方を見直すなどの対応が有効です。非言語のサインを読み取り、自分の発信と相手の反応を適切に調整することが、商談成功のポイントといえるでしょう。
上司と部下が1対1で話す1on1ミーティングは、上司と部下の信頼関係を築くために非言語コミュニケーションが欠かせません。上司が穏やかな口調で話しつつ落ち着いた姿勢を見せれば、部下に「この人は話をきちんと聞いてくれる」という安心感を与えられます。
またうなずきや適度なアイコンタクト、笑顔を交えながら話を聞けば、共感的な姿勢を伝えられます。部下の表情や話すトーン、沈黙の時間などからは、言葉では伝えにくい本音や不安を読み取るヒントが得られるでしょう。
こうした非言語の情報を察知して相手に応じた反応を示せば、ミーティングはより深い信頼と理解を生む場に変わります。
採用面接では応募者だけでなく、面接官の非言語コミュニケーションも重要です。応募者は面接中、自分の熱意や誠実さを伝えるために、背筋を伸ばした姿勢やはっきりとした声、目を見て話す態度が求められます。
これらは自信や前向きな気持ちを示すサインになりますが、その一方で、面接官も開かれた姿勢や穏やかな表情を意識すれば応募者の緊張を和らげ、本来の力を引き出しやすくなります。
また面接官が社風に合った服装や雰囲気で対応することも、応募者に企業イメージを伝える非言語メッセージです。面接はお互いの印象を左右する場面だからこそ、非言語のやり取りに細やかな気配りをすることが大切といえるでしょう。
非言語コミュニケーションは、言葉以上に相手の印象や信頼感に影響を与える重要な手段です。商談や1on1ミーティング、採用面接など、あらゆるビジネスシーンで非言語コミュニケーションの力が発揮されます。
今回ご紹介した7つの非言語の種類を理解して実践できれば、仕事における人間関係や成果に大きな差が生まれるでしょう。
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